中学校卒業のときに、成人の自分へあてた手紙を書いた。
正直そんなことをすっかり忘れていた私は、成人式のときにその手紙を渡されても「あ、そういえばそんなこともあったな」程度の軽い気持ちだったと思う。
手紙には、あたりまえだが中学生時代の私からの言葉が綴られていた。
驚いたのはその内容。
要約すると「他人を羨ましがるより前に努力しろ」というものだった。
あまりにも大人びている。しかもかなり辛辣。
むしろ今の私より大人じゃん……とそんなことさえ思った。
思えば小さいときから可愛げのない、ませた子どもだった。
うわー、こんなこと書いてたんだ私……と少々恥ずかしくなりながら、そっと手紙を元の封筒に戻した。
それから2年程経ったとき、私は体調を崩して家から出られなくなった。
当時大学4年生。就職活動が上手くいかず……というよりそもそも就活以前に自分がこれからどうすればいいのかがまるで分からなくなってしまい、精神的に追い詰められてのことだった。
ただ大学に行くために家を出ようとするだけで涙が溢れて止まらなくなった。
その経験はまたいつか、文章にしたくなったらここに記そうと思う。
そんなこんなで卒業まであと1単位足りず留年することになるのだが、そのときにあの中学時代の私が書いた手紙を見つけた。
---他人を羨ましがる前に努力しろ
やっぱり辛辣。でもその手紙の最後に、私はこんな言葉も添えていた。
『遠回りでもしっかりと歩ける人間になってください』
その言葉を見た時、思わず泣いてしまった。
預言者か?エスパーか?中学時代の私は、まさか自分が留年するようなことになってるなんて一ミリも思っていなかったはずなのに。
おとなになったらどんな人になっているだろう、あなたは何になっていますか?
そういう疑問を大人の私にぶつけるよりも激励の言葉をかけることを選んだ中学生の私は、あのとき一体何を思っていたのか。
わからないが、過去の私が私を救ってくれたことに違いなかった。
月日は流れ、さらに私は大人になった。
最短距離を要領よく歩ける人間にはならなかったが、遠回りをしながらも自分の人生と向き合って生きていると思う。
思い描いていた通りの人生ではないにせよ、私は大丈夫だから安心してねと
中学生の私に伝えたい。
今週のお題「おとなになったら」